土木インフラ×AIの可能性。今あるインフラを、長く大切に使い続けるために
老朽化、限られた予算、厳しい自然環境、担い手不足。土木インフラの維持管理が抱える課題に、AIで何ができるのか。インフラインテリジェンスの考えを書きました。

インフラを取り巻く、三つの厳しさ
日本の道路や橋などの土木構造物は、老朽化が進んでいます。多くの人が使う場所だからこそ、法令で5年に1回の点検が義務付けられています。
ただ、それを支える条件は年々厳しくなっています。高度成長期のようにお金をかけることはできず、人口が減れば、利用者の少ない場所に予算を回すことはさらに難しくなります。料金をいただいて運営する施設なら、なおさらです。
そのうえ構造物は、時間とともに必ず劣化します。雪、激しい寒暖差、強い雨といった環境が、その劣化を早めます。そして、使う人が減れば、管理する人も減っていきます。
お金、自然環境、担い手。この三つが重なったとき、最も危険にさらされるのは、インフラを使う人です。

点検と維持管理には、まだ伸びしろがある
だからこそ、管理の段階から効率を上げる必要があります。土木の業界は、ほかの業界に比べて変わる余地がまだ大きく残っています。建設や施工では効率化の事例が出てきましたが、点検や日常の維持管理はこれからです。
特に小さな現場ほど、人の手作業に頼っています。そこを助ける道具があれば、今あるインフラを長く大切に使い続けられる社会に近づけるはずです。
一人の意思決定者で回せる仕組みを、AIで
その社会は、人の力だけではまかないきれません。画像から損傷を見つける点検のAI、計画を立てるAI、費用を試算するAI。これまで何人もの人が分業してきた仕事を、意思決定する人が一人いれば回せる。そういう仕組みが、これから必要になると考えています。

安く、広く、みんなで使えるように
まずは点検から、こうした課題に応えるサービスを出していきます。有料である必要はないと考えています。
AIはモデルを大きくするほど精度が上がりやすい一方で、大きなモデルは、資源の限られた管理者には使えません。できる限り安く、できる限り多くの人に使ってもらうことが、社会にとって良いことだと考えています。だからモデルは無料で公開し、それを使って仕組みを作りたい方がいれば、全力で支えます。
AIの語られ方はさまざまですが、インフラの管理においては、得られるものの方が大きいと私は考えています。その力を生かせる道具が、管理する人の手元に届くように。その触媒になることが、インフラインテリジェンスの目指すところです。